ラジオ特別番組 2023

2023年10月21日(土) 午後3時30分~4時

ぎふチャン ラジオ 特別番組

ぎふピンクリボン

「いのちの大切さ ~まずは、わたしが持続可能に!~」

 

 <番組概要>

SDGs目標「すべての人に健康と福祉を」「働きがいも経済成長も」を念頭に、「まずは、わたしが持続可能に」をテーマに掲げ、ぎふピンクリボン実行委員会が展開する乳がん啓発番組。専門医師と罹患者から、乳がんの早期発見・早期治療の大切さ、働きながら治療をする上での支援体制などについて伺います。

 

【出演】

岐阜大学医学部附属病院 乳腺外科 二村学 教授

患者会・あけぼの岐阜 代表 橋渡智美 さん

【進行】

ぎふピンクリボン実行委員会 代表 平松亜希子



ぎふピンクリボン特別番組 「いのちの大切さ ~まずは、わたしが持続可能に!~」

 

平松
ぎふピンクリボン特別番組 「いのちの大切さ ~まずは、わたしが持続可能に!~」


SDGs
という持続可能な取り組みの中でも、何より優先しなければいけないのは、自分自身の健康。仕事、家事、育児などを担う毎日の暮らしの中で、自分自身が健康でいないと何もできません。すべての人が健康で楽しく生きる、やりがいを持って毎日が送れるよう、まずはご自身の健康に意識していただきたいと思います。


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月はピンクリボン月間です。 ピンクリボン運動は、日本における女性のがん罹患率第1位である乳がんについて正しい知識を深め、乳がん検診の受診を呼びかける活動。1980年代にアメリカで始まり、世界中で活動が行われ、 日本でも10月のピンクリボン月間に合わせて、各地で啓発イベントが実施されています。

そこで今日は、女性の多くが罹患する乳がんを通して、命の大切さを改めて感じ、 健康への意識、そして、がん検診の大切さをお伝えしたいと思います。

 

この番組は、サンメッセ、明治安田生命の協力、また、岐阜県からの清流の国岐阜SDGs推進ネットワーク連携促進補助金を受けてお送りします。

 

平松

この番組を一緒に届けてくださる 岐阜大学医学部附属病院乳腺外科教授二村学先生と、乳がん患者会「あけぼの岐阜」代表の橋渡智美さんです。よろしくお願いします。

二村・橋渡
よろしくお願いします。

平松
二村先生、女性にとって乳がんは身近な病気ですね。

二村
はい。その通りです。 今は女性の9人に1人が乳がんになるといわれる時代。 実際、日本で、そして世界でも、乳がんは確実に増えています。原因はいろいろありますが、1つは生活のスタイルの変化があるかと思います。

 

平松
乳がんの患者会「あけぼの岐阜」さんは、どんな活動をされているんですか。

橋渡
はい、あけぼの岐阜は、岐阜市を中心に岐阜県で活動する乳がん患者会です。 あけぼの会は、そもそも全国組織の乳がんの患者会で、あけぼの岐阜は 20044月からその岐阜支部として発足し、20094月にブレストキャンサーネットワークジャパンあけぼの会という新システムに変わりました。今は、啓発活動や会員さんのサポートをしています。
この団体は、会員さんやご家族、岐阜県内の乳腺外科の先生方と一緒に作っている会で、二村先生もあけぼの岐阜の顧問医の1人でもあります。毎年開催するピンクリボン講演会では、二村先生に治療のお話をしていただいています。

平松
橋渡さんご自身の病気について聞かせてください。

橋渡 
はい。私は21年前に、同時両側乳がんになりました。その当時、両側乳がんは乳がんの中でも2000人に1人が罹るといわれる珍しいがんでした。そのため、体の痛みよりも心の痛みの方が強かったです。その当時、がんは5年が標準治療といわれる中、 両側ということもあり、主治医と相談して10年間、治療をしました。 それは、年月やお金、そして副作用との戦いでもありました。

平松
SDGs
ゴールのうち、「すべての人に健康と福祉を」「 働きがいも経済成長も」など、健康で楽しく生きる、やりがいを持って毎日が送れることを目指すゴールがある中、橋渡さんは現在、命の大切さを訴える活動もされていらっしゃいます。

橋渡
昨年から中学校2年生を対象に、がん教育の授業をしています。 ドクターと一緒にがんの正しい知識を伝え、がんになってもがん患者が社会と共生できるようになったことを、生徒さんたちにお話ししています。以前、ある方ががんになった時に、「がんのことをまったく知らなかった。教えてくれる人がいなかった」と言っていました。 がんで学ぶというがん教育には、自分の命を守ることを教える大切さが必要だと思っています。

 

平松
先ほど橋渡さんの話で、いろんなものと戦いながら治療をしたというお話がありましたが、治療をしながら仕事も続けなければならない方も多いですよね。

二村
そうですね。乳がんの患者さんは、40歳になると急激に増えます。 この40代、50代、60代は、人生の中で最もいろいろなことのイベントがある時期です。子育ての真っ最中、生活もしていかなければいけない。そんな中で病気になった時には、精神的、肉体的、さらには経済的、社会的と、あらゆる面で患者さんにとっては苦痛が訪れます。病気に打ち勝つためには、そういったものをどうやって克服するかということが重要になってくると思います。

平松
橋渡さんはどのように克服されたんですか。

橋渡
私が乳がんなった21年前は、今のような就労支援体制はまったくなかった時代だったので、 がんになったことも隠さざるを得ませんでした。治療で会社を休まざるを得ない時も、もちろん隠さないといけない。そういった時代でしたので、私も10年勤めた会社を辞めざるを得なかったですね。

平松
今は、支援体制って整ってきているんですよね。

二村
そうですね。昔と比べると随分変わりつつあると思います。昔はがん=死の病で、その先の将来はないという考え方でしたが、医学の進歩で治る方々が出てきた。しかし、具体的な支援の方策というのが示されていませんでした。 ところが10数年前から、国もがん対策推進基本計画の中で、 がんをいかに乗り越えながら個々の人たちが生活をし、そして明るい未来を築いていくかということを盛り込んだ法律が決まったんですね。そこには、がん患者さんの病気を治すということだけでなく、患者さんやそのご家族の苦痛を軽減し、療養生活の質の向上を目指しましょうという大きな目標が掲げられたんです。そこから10年ほど経ち、がんになっても安心できる社会の構築がうたわれるようになりました。
そのためには、やはり医者による治療だけではなく、薬剤師、看護師などさまざまな人たちも含めたチーム医療で患者さんを支える必要があります。そこで、持続可能な医療体制を作るという意味で、医療従事者を育てるという、教育へのサポートが加わり、今こういったことが少しずつできるようになってきたんじゃないかなと思っています。

 

平松

さまざまな支援体制の中で、就労支援についても詳しく教えてください。

二村
就労支援は、患者さん個人の問題だけでは済むものではありません。 医療者、企業、上司、さらには両立支援センターなどとの協力が非常に重要ということになります。 患者さんが仕事を続けたいと思ったら、我々医療者は治療の内容を検討します。例えば、できるだけ 仕事をしやすいような通院形態を考えてあげたり、副作用対策で仕事とのバランスが取れるようにしたりと、考えなければならないと思います。また、会社の上司あるいは事業主の方であれば、患者さんがどのように通院ができるかという勤務体系をきちっと調整してあげることが必要です。患者さんの可能な範囲で 身体状況の把握をし、調整していくということが重要になってくると思います。

私たちの病院では、患者さんのさまざまなサポートをしています。 例えば1つは、がん患者サロンといった形で、実際に患者さんや家族がどういったことを悩んでいるかを聞き出すことを週23回ずつ行っています。 さらに、実際の就労でどういった支援をしてほしいかを相談するために、がん相談センターも設けております。 就労相談というもう少し具体的な話をすることもできます。こうしたことは、私たちの病院のみならず、各病院でやっておられると思います。
また、ハローワークの出張もしてくださっていますので、がん相談支援センターの方に言っていただければ、ご希望に沿ったサポートができるのではないかと思います。

平松

橋渡さんが取り組んでいらっしゃる教育の面で、実際に学校を回ってみていかがですか。

橋渡
子どもさんたちを見ていると、まだまだがんのことを知らない子や親御さんが多くいます。 このがん教育を通して、検診を受けることの大切さを話していくことで、検診率アップにもつながっていけば、 早期発見、早期治療に結びつき、医療費の削減にもつながります。今お話している子たちもAYA世代に向かっていくので、このがん教育の必要性は重大じゃないかなと思っています。

平松
誰もができるSDGsアクションとしては、やはり検診に行くことがまずできることではないかと思います。

二村
検診は大事ですね。国はがん検診を推進していますが、がんの検診受診率目標を達成できているのは、なんと男性の肺がんだけ。そのほかはまだまだ50%もいってないんですね。乳がん検診も2年に1回ですが、今47%でもう一息というところです。 その47%の人たちは多くがリピーターで、逆に半分以上の方はまったく検診を受けてないという現状があります。やっぱりまだまだ啓発を続けなきゃいけないなと思っております。

私たちの病院で受診された患者さんにお伺いをすると、やっぱり半分以上の方は検診受けてなかったとおっしゃられます。検診を受けることと、もう1つ、ブレストアウェアネスという言葉が、非常に重要になっています。これは、自分自身の乳房に関心を持って、自分で自分の乳房を守りましょうという考え方です。 寝る前に自分の乳房を触っていただいて、 なんかおかしいところないかなと意識することで、乳がんが見つかったりすることがあります。検診を受けることと、ご自身で自己検診をして意識を持っていただくという、この2つが重要じゃないかと思います。

平松
橋渡さんは命の大切さを伝える立場で「早期発見、早期治療には検診に行くのが大事だ」ということを子どもたちへ伝えているのでしょうか。

橋渡
はい。がん教育では、 知識だけではなく、体験者として辛かったことや支えになったことを伝えています。支えられたことによって今度は自分が支える立場にもなれるので、子どもさんたちには、「もし友達が悩んでいたら、ぜひ声をかけて一緒になって考えてあげてくださいね」ともお話ししています。それから「自分の命は自分で守る」ということ、「親からもらった命は粗末にしてはいけない」ということも。患者会をやっていると、「生きたくても生きられない」という人も多くいて、「命は大事」ということを常に考えさせられるので、「本当に命こそ大事にしてほしい」ということを一生懸命、子どもさんたちに伝えています。それから家に帰っても、 親御さんやおじいちゃんおばあちゃんにも、検診を受けることの大切さ、命の大切さを、家族みんなで話してくださいと話しています。

二村
患者さんは、我々医療者には言えないことがあると思うんですよね。 そういった患者さんの悩み、気になることをよく聞いてあげて、その方がどうすれば問題を解決できるかに繋がっていければと思っています。

平松
最後に、一言ずつメッセージをいただきたいと思います。

橋渡
検診はあなたの命を守る鍵です。体験者しての願いは、 乳がん検診で早期発見。それを訴えたいと思います。

二村
がん治療は、やはり医療機関だけでは無理で、地域で支えるがん医療というのが非常に重要だと思います。 患者さんにとっては、家族の協力が第一です。 それから、医療機関の各スタッフによる尽力、さらにはかかりつけの先生との連携、それぞれの地域や会社での協力、行政の関与と補助制度など、多くのことが重要だと思います。 こういったものがすべて融合することによって、がん医療というのはうまくいきます。まさしくSDGsに繋がると思いますが、 地域でがん医療を支えるシステムを築き上げ、継続していくことが重要じゃないかと思っております。

平松
ありがとうございます。 これをきっかけに、皆さんもご自身の体のこと、そして周りの皆さんの体のことも気にかけていただきたいと思います。
本日は、二村先生と橋渡さんにお付き合いいただきました。ありがとうございました。

 

<まちの方々の声>

・乳がん検診はこれから受けようと思っています。家族3人いつまでも元気でいられるように。
・気になりつつも、検診のきっかけがなかったので、受けてみたいと思います。

・身内で乳がんの人がいたので、定的期に受けなきゃと思いつつも、なかなか受けていないので 受けたいなと思います。

・私もまだ受けてないので、受けなきゃいけないなと思っています。

・家族のためにいつまでも元気でいられるように頑張ります。
・乳がん検診は毎年受けています。早寝早起き朝ごはんでみんなで元気でいられますように。
・ママ大好きだよ。
・乳がん検診は1年に1回受けています。子どもが女の子なので、大人になったら乳がん検診を 1年に1回受けてほしいなと思います。
・ママへ 元気でいてね。

・みんなが元気でいられるように、お母さんがやっぱり1番元気じゃないといけないと思うので、いろいろと気を付けたいと思います。

・お母さん、元気でいつまでも 大切に育ててね。

・家族と一緒に私もいつまでも元気で、仕事も長くできるように健康でいたいと思います。